着地点を見失った

今日は酒を飲みながらこの記事を書いている。晩酌……とはちょっと違うか。

明日も仕事なのに酒を飲んだのは、今日の仕事で嫌なことがあったからだ。そしてちょうど家に開封していない赤ワインがあったからでもある。

嫌なことがあったから酒を飲む、というのをあまりしたことがない。

吐くほど飲んでも記憶は飛ばないし、中途半端に飲むと眠れなくなるし、何より飲酒は少なからず次の日の体調に響く。

今までは、付き合いで少し飲んで一人だけ徹夜、みたいなことも少なくはなかった。

眠ってしまった人達を眺めながら妙に冷めた頭でぽつんと携帯を触っていたことを覚えている。

自分も眠ってしまえたらどれだけ楽だっただろうと思うこともあった。体質なのだからしょうがないが。

それでも今日は酒を飲んだ。成人して数年、失敗もあったけれど、友人と飲むことがあって、少しだけマシで気持ちの良い酔い方を覚えたように思うから。

 

その友人と先日飲んだ時に、幼馴染の話をした。

親の仕事の都合で何度か転校した自分には、幼馴染というものがいない。

姉には保育園からの付き合いの友人がいるようだが、最近はやり取りをしているのだろうか。

小中高と同じ学校に行った友人もほとんどいない。そもそも友人があまりいない。改めて言うと寂しいな。

とにかく、自分には幼馴染がいない。そしてフィクションの中には当たり前のように主人公の隣に現れる。

そんな幼馴染に憧れを抱かずにいられようか。否、いられるはずもない。

友人と話したのは架空の幼馴染の話だったが、本心か冗談かは別として、酔った頭で考えたにしてはなかなかディティールが細かかった。

いや、酔った頭だからこそ、普段なら付けられているリミッターのようなものが外れてしまっていたのだろう。

最終的に、存在しない幼馴染の名前を呼んで慟哭するまでに至った。気持ち悪い。

幼馴染という存在がいれば、自分はどうしただろうか。悩みを打ち明けたりしただろうか。

そもそもこんな性格になっていただろうか。それは幼馴染がどういう人間かにもよるか。

幼馴染と遊びに行ったり、思春期ゆえの衝突があったり、その後の和解があったり……

そういう、「青春の一ページ」的なものがあったりしたんだろうか。

憧れるなあ、青春の一ページ。学生時代はほとんど穴倉のような場所で過ごしていたので。

唯一いまだに連絡を取っている学友は、大学時代の友人だ。そもそも大学時代は友人の友人として知り合い、学部も違ったため、そこまで親しくはなかった。

電話で話すようになったのはお互い卒業してからだ。それも卒業後すぐとかではなかったように思う。

小学校は三年の終わりに転校したので、そこで前の学校の友人との連絡も途絶えた。

こうなると、自分の人生の中で、友人付き合いが四年以上続くのは非常に稀ということになってしまう。まるで新入社員のようだ。

社員……会社……仕事……また嫌なことを思い出してしまった。

どこかにロングヘアーでセーラー服が似合って図書館によくいて文芸部所属で二人称が「きみ」で料理がちょっと苦手ででも興味があってチョコよりポテチ派で猫より犬派で成績は中の上で幼い頃に一度大きな怪我をしたことがあって二つ年下の弟がいる幼馴染がいないかなあ。