祝祭は青空の下で

今日は休み。少しだけ早起きして動き始めた。

目的は最近ずっと観よう観ようと思っていた映画だ。

しかも家の近くの映画館で放映されているらしい。そして手元には、映画観賞券が。

これは観るしかない、と今日の休みをずっと待っていた。

いつも通り割とぎりぎりの時間になってしまったけれど、何とか本編前の予告編が流れている時間に入ることができた。

 

観た映画は「ミッドサマー」。

ネットでは「鬱映画」だの「セラピー映画」だの意見が真っ二つだったが、自分は割と強めのカタルシスを得られた。

ネタバレになるので詳細は省くが、冒頭の暗い画面から一転して、本編中はほぼ明るい映像ばかりで、視聴後は何だか心が軽くなった。

心なしか目も普段より開いていたように思う。暗い室内にいたことを考慮に入れても、外の世界が明るく見えた。

つまり自分にとってはセラピー的な映画だったわけだ。

 

火が好きなので、火がごうごうと燃えている映像だけでも結構癒されるというか、呼吸が深くなる。

主人公の女性に感情移入して観ていたように思う。辛い状況の彼女が、踊りながら笑うシーンでは自分でも「良かったねえ」と思わず笑みがこぼれた。

喧騒から遠く離れた自然溢れる村も、主人公の感情に共感する人間も、強烈なカタルシスをもたらしたラストも、全部自分には得られなかったものだ。

そのどれもが日の暮れない青空の下で、美しい景色と共に映し出されている。

青空は凄惨な光景の上にも、変わらず広がっている。「快」と「不快」の境目があいまいになりそうだ。

そうやって、様々な角度から感情を揺さぶられてできた心の隙間に「共同体(これには色んなものを内包している)」に静かにするりと入り込まれたような気分、そしてそれがとても心地よい。いつの間に葉っぱを吸っていたんだろうか。

 

こういう、「気持ちよく気持ち悪い」のが好きなんだよなあ。

「これ! 怖いでしょ! ほら!」と怖さや気持ち悪さを全面的に押し出されるより、零れた液体に布を落として、じわじわと汚れていくのを見るような、パズルを組み立てていくうちに見えた形がおぞましいものだったような、そんな、なんか……

 

だめだ言語化できねえ!!

一番しっくりきているのが「気持ちよく気持ち悪い映画」なんだけど、どういうやつ?と聞かれたら……何だろう……感覚の言語化が広義過ぎて色んなタイプのが当てはまってしまうな……

「ミスト」とか「セブン」とか「この森で天使はバスを降りた」とか「ファニー・ゲーム」とか?

全部ラストが胸糞と言われるもので、ミスト以外は「にんげんこわい」な映画だけど、別に今回はラスト胸糞でもないしなあ……

ホラーよりはサスペンスが好きなのかもしれないね。思春期に「羊たちの沈黙」に猛スピードで跳ね飛ばされたので……

 

もう少し踏み込んで文字にしたいな。自分の感覚を文字にするの、結構難しい。自分のことなのにままならない。でも楽しい。言葉と感覚がうまくつながった時の快感よ。

ままならないもどかしさも好きなんだけれど、そればっかりじゃ疲れてしまうので。

これを書き始めたのも、言葉にするための練習のつもりだったんだよな、成果が出ているかはわからん。

 

 

ちなみに人生で二回以上観た映画は「アンチクライスト」と「羊たちの沈黙」なんだけど、どっちも視覚的にえげつないな……

でも印象に残ってるシーンはえげつないシーンじゃないので、そういうところ「気持ちよく気持ち悪く」なれてるんだろうな、と思う。