好きなものを声に出そうとする試み

今日は特筆すべきことが何もなかったので(仕事では色々あったが概ねいつも通り)、好きなことについて書いていく。

そういえば前の記事でも、固有名詞を避けて書いていたなと思った。

 

道尾秀介の「向日葵の咲かない夏」という本。少し前に書いた記事で触れていた本がこれ。

タイトルからしてちょっと暗そうな雰囲気が漂っている。が、この本はベッドに横たわった自分の身体を起こしてくれたものだった。

比喩とかではなく、実際にそうだった。

寝てばかりだった当時の自分の、覚醒時間が増えたのはこの本のおかげだった。

あらすじとしては、小学生の主人公が、学校を休んだ友人宅にプリントを届けに行くと、彼は首を吊っていた。

それを大人に話したら確かめに行ってくれたが「死体は無かった」「本当に見たのか?」と言われてしまい……というお話。

ネタバレを避けるためにふんわりしたことしか書けないけれど、こういう空気の話が好きだ。

何が本当で何が嘘なのか分からなくなる。気持ちよく気持ち悪いお話。

ラストは賛否や解釈が分かれるようだけど、自分はハッピーエンドだと思った。

そう思えた自分も、なんだか救われた気がした。

 

同じ作家の本をそれからいくつも読んだが、正直、「向日葵の咲かない夏」を超えられるほどのものには出会えていない。

泣いた作品はいくつもある。「透明カメレオン」とか「スタフ」とか。

感情を揺さぶられるのはとても楽しい。読書が楽しい理由の中で多分一番大きい。

 

最近、本を読むのがまた楽しくなっている。昔楽しかったことが、また楽しいと思えるようになったのは素敵なことだ。心が息を吹き返している。

これを機に、買い逃していた作品も買おうか検討しよう……と思っていたが、最新作の「いけない」を勢いで買って読んで「うおおおおお」と揺さぶられたのできっと近いうちに買うんだろうな。