内省するとろくなことがない

満員の高速バスの中は気持ちが悪い。
どこを見ても人がいる。少し腕を動かすだけで隣の人の腕に当たってしまう。
真後ろの人の大きな寝息が聞こえる。斜め前の男が船を漕いでいる。
誰かが何かを食べている音と匂い。何かを飲む音と匂い。
ボタンを叩く音。ビニールの擦れる音。ため息。咳。囁き声。

三時間ノンストップで、姿勢が窮屈なのも相まって、高速バスに乗るといつもどっと疲れる。
他人と同じ空間を共有し続けるのは、めちゃくちゃきつい。
パーソナルスペースが広いことは自覚している。腕が当たりそうな距離だと、相手をずっと意識し続けてしまう。
大事な話をされても、全然集中できない。緊張して汗をかくし、「近い!!!!!!」しか考えられない。

こんなんだからまず自分から相手に近寄れないし、善意で近寄ってきた人に対しては、無意識に言葉の刃を刺してしまう。
人と生きるのにつくづく向いてないなと思う。
世界とそれなりの距離を保って生きていく方が、誰も傷つかなくて良さそうだ。
それでもやっぱり寂しくなるんだから、ちょっとばかりきついものがある。
近寄られることに関しては…慣れるしかないんだろうな…
あとは極力当たり障りのない返事をする、聞き役に徹する、くらいだろうか。
個をなくせば、パーソナルスペースなんてのも気にならなくなるかもしれない。

自我が強すぎるのかもしれないな。自分は自分が思っているより自分のことが好きみたいだ。
そこまで愛する価値なんてないよ、と耳元で言い続けてやりたい。

こんな悲しいことじゃなくて、もうちょっと楽しいことが書きたかったんだ。今日はなにもなかった。