最近は雨が続いている。
職場での会話も「この後、雨降るかな」「湿気で蒸すね」などといったものが主流だ。
天気について話していれば、まず間違いないからありがたいことだ。
「雨降ってますね」と声をかけて、いきなり怒り出す人なんてそういないだろう。
今日、話の中で時間についての捉え方の話題になり、「まだ勤務時間がこんなにある」「もう残りこれだけしかない」と見方が分かれることがあった。
それを「楽観的」「悲観的」と表現すると、「そういうことを言うもんじゃない」とたしなめられた。
自分としてはそう深い意味はなく、「コップに水が半分ある状態でそれを『まだ半分ある』と思うか『もう半分しかない』と思うか」という違いに似ているな、と思ったので発言したまでだった。
「時間の捉え方でそういうことを言わない方がいい」といった感じのことを言われたのだが、うーん、いまいち納得がいかない。
他の人の意見を聞こうにも、雑談の中でのことだったので内容なんてそこまで細かく覚えていないし、これで新たな火種になっても困るので飲み込むことにした。
別に楽観的だから良いというわけでも、悲観的だからダメだとも言っていないのだけれど、やはり「悲観的」というのにはマイナスなイメージがあるからだろうか。
少し経って、たしなめた本人から「そういうことを言っていた友人が昔いて……」という話をされた。
その友人のことを思い出したらしいが、自分とその友人は違う人間なのにな……とほんの少しだけ寂しくなった。
確かに、同じような思考をする人間は同じような行動をしやすい、というのはあるのだろう。
でなければ統計学や心理学なんて成り立っていないし。
しかし、みんながみんな同じ行動を必ずとるなら、逆にそういったものは成り立たないんじゃないだろうか。
これが地雷、というものだろうか、と退勤してぼんやり考えた。
こんなにわかりやすく人の地雷を踏んでしまったのは初めてかもしれない。
今までにも何度か踏んでいただろうけれど、あまり面と向かって「言うな」と言われたことはなかった。
初めての反応に驚いて何もできなかったので、次からは素直に謝ることにしよう。
これが正解かは分からないけれど、フィクションの世界でも「親御さんとか……」「うち、親いないんだ」「ごめん……」とすぐに謝っている。
少なくとも火に油を注ぐことにはならない……と思う。
要するに、会話って難しいな!