灰色の世界

何時に寝たか思い出せないけど、いつもと同じ時間に目が覚めたから、ちゃんと生活リズムができてて偉いぞ……と思った。

まあ二度寝したから体を起こしたのは15時くらいになったけど。

そのままうだうだしてしまい、何にもしないのはさすがにやべえ!と焦って服を着替えて外に出た。

 

本当は献血に行きたかったけど時間が終わっていたので、やりたかったことその2のコンタクト購入へ。

普段買っているお店、火曜は休業日なので、別のお店に行くことにした。

調べずに向かったら営業時間ぎりぎりになってしまい、片付け作業っぽいことをしている店員さんに話しかけることに……申し訳なかった。

少し前から度が合わない気がしているけれど、いつ言うか迷っている。

商品を受け取る時に「目が乾燥したりしませんか?」と聞かれ「特にしませんね」と答えた。

その時に度が合わないことを伝えればよかったんだろうけど、引き留めるのも悪いと思いそのまま店を後にした。

ワンデイのものなのに二日や三日付けているから、目には何かしら起きているはずだ。

ピントも合いづらいし、結構前から物がぶれて二重に見える時もある。

眼科に行かなきゃならない。けど行きたくない。面倒だから。

あとなんか、異常を指摘されるのも怖いから嫌だ……

 

そのまま本屋に行った。

目的は本じゃなくてQuizKnockのグッズ。売り切れていたアクリルタグが入荷したと知って、近いうちに行こうと決めていた。

でもさすがに本屋に来てグッズだけ買うのもな……と思いちょっとうろうろ。

貫井徳郎さんの新作「罪と祈り」。買おうかどうか迷っていたけど、読み途中の本もないので、今がその時だと思い購入。

ハードカバーの本を定価で買えるのは良いな……漠然としていた金銭の余裕が、本という消えないもので実体化する。

ちょっといい物を食べるとかでも余裕は感じるけど、食べたら終わっちゃうから……

 

最初だけ読んでみた。相変わらず灰色だった。

貫井徳郎さんの文章から受ける印象は、灰色。大体灰色。それほど厚くない雲がかかった曇天の下のよう。

生命の気配は感じるけれど、周りの色彩は明度が低い。

明るくはないけど、暗過ぎでもない。部屋みたいな閉塞感は無いけれど、湿気のせいか何となく少しだけ息苦しい。

著書は色々読んだけれど、どれもこれも、『慟哭』も『乱反射』も『わが心の底の光』も全編灰色だ。

『悪党たちは千里を走る』くらいかな……しっかり色が付いてたの……まだ網羅していないから他にもあるかもしれない。

 

こういう、灰色の世界、好きだ。

心情や世界にあまりきらめきがないことに、ひどく安心する。

読んでいる間は、世界に溶け込めて、自分も灰色になっている気がする。こういうのをリアルっていうんだろうか。

この灰色の世界でも、雨が降ったり、少し陽が差したり、風が吹いたりと変化はある。

 その変化を劇的ではなく、静かに感じられる。気持ちよく気持ち悪さを感じる。好きだな……

道尾秀介さんの作品のような、ハラハラドキドキや、切なさや暖かさ、一行でひっくり返される感覚も好きだけれど、そればっかりだと飽きるし、心が大きく動かされ過ぎて疲れてしまう。

これについてはまったく逆のことも言えるけれど。

人間や世界に対しての希望と、どうにもできないやりきれなさをちょうどいいバランスで味わっていたい。

 

まだ四分の一も読んでいないから、これから先が楽しみだ。でも重たいから読み進める手が止まったら素直に休もうと思う。