瑕疵有の青春

台風が来ている。風の音が聞こえる。

電車が止まるかも、とのことで、電車通勤の人は早めに帰ったらしい。

徒歩で帰れる距離の自分にはあまり関係がないので、最後まで仕事をして帰った。

 

自然災害に関して、あまり恐怖を感じたことがない。恵まれていると思う。

ただ、八年前の大地震は、直接被災したわけでもないのに、自分の無力感をひしひしと感じた。

 

あの日は確か、学校にいた。部活をしていた記憶がある。

地方大会で好成績を収めたので、春の特別大会的なものに参加するはずだった。

開催は一週間後だった。

場所は北海道だったので、人間は飛行機を使って行くことができる。

しかしその他必要な道具を運ぶトラックが通れない、とのことで、結局、出場は辞退となった。

その頃からうまく起きられなくなっていたので、辞退の知らせは自室のベッドの上で聞いた。

力が入らなかった。冷静に聞けていたと思うが、話が終わった後に一人で泣いた。

それが、最後の大会の結末となった。

全国大会に行くことはできなかったが、自分の高校生活の締めくくりとしては上々じゃないか、と思っていた。その分、衝撃が強かったのだろう。

何もできない。自分や周りの生徒や、先生の力では、どうにもならない。

それでも、とその後の人生でも似たような活動に縋ってみたが、とうとう穴が埋まることはなかった。

 

今でも少し、寂しいとも悲しいとも違う、もやもやとした気持ちが湧き上がる時がある。

時間が経つにつれて頻度は減ったが、たまに思い出したように高校名を検索しては名前も知らない後輩の活躍を探す。

先生、先生、僕らは強かったですよね? 覚えていますか? 

たまに夢に見てしまうのは、未練たらたらだからなんだよな。

 

こうやってセンチメンタルになるのは疲れているからだと思う。せっかく早く帰れたのだから、ゆっくりお風呂に入って寝よう。