起きたら起きられなかった。
矛盾しているように見えるけれど実際そうだったんだからどうしようもない。
目を覚ますことを、起きる、と言ってるからそうなるんだよな。
実際には、目覚めた時、身体が動かせなかった。
激しい吐き気と倦怠感に襲われていて、これはやべえぞとぼんやりしながら枕元に手を伸ばした。
朝起きて体温を測るのが常になっているので、ベッドから降りなくても体温計に手が届くのだ。
ものぐさだろうがしょうがない。過去の自分に助けられている自分がいるのだからきっと直らない。
計ってみると、38度ジャスト。
平熱は36度半ばから後半を行き来しているので、37度くらいだとまあ、微熱と呼べなくもないが……といったところなんだけど、38度になるとそれはもう”発熱”だ。
ああ、熱だ……熱が出ている……しかし起きなければ……気持ち悪い……病院……今日日曜か……そこら辺で意識を手放した。
次に目を覚ました時は、部屋の空気から、完全に寝坊している時間だとわかった。
息が荒いなあ、熱出てるもんなあ、と自分を俯瞰しながら携帯を確認する。電源が切れていた。
充電して少し待って、起動。すぐさま舞い込んでくる不在通知の数々。
全部、会社からと、上司から。こんなに着信が入っていたこと、前職を無断欠勤した時にもなかった気がするな……
怠さだけじゃない億劫さを感じながら上司に電話をかける。
心配と、前回やらかした遅刻の件で、わかったら早めに連絡しろと注意された。
申し訳ねえ……申し訳ねえなホントに……やらかして……
大遅刻もこの一年一度も無かったし、体調不良で無断欠勤なんてのも初めてだ。
どこか自分でも気づいていない悪いところがあるんだろうか。
とりあえず熱が出ていることを報告して、休みにさせてもらった。
今日はゆっくり休んで、明日病院に行かないとな。
横になってもきっと、あー…………もう…………って自己嫌悪するからすんなり寝られなさそうだけど。